6 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 14:53
こんな夢を見た
     ∧ ∧ 
     ( -Д-)∧
     ∩ヽ/||⌒!つ
     ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
腕組みをして枕元に坐つて居ると、女が静かな声で云つた
             ΛΛ
まう死にます   Σ(゚Д゚ )
    ノノ人ヽ    / ヽ⊂ヽ
  /{(-д-*)}/   (_|⊃)
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
// ̄ ̄ ̄ ̄/ /

7 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 14:53
自分も確かに是は死ぬなと思った
そこで上から覗き込むやうにして聞いて見た
           ΛΛ
          (゚Д゚ )さうかね、死ぬのかね
    ノノ人ヽ cく ycくヽ
  /{(-д-*)}/ (_(_|っ
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
// ̄ ̄ ̄ ̄//

8 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 14:53
女はぱつちりと眼を開けた。その真黒な眸の奥に、自分の姿が鮮に浮んでゐる
自分は透き徹る程深く見へるこの黒眼の色沢を眺めて、是でも死ぬのかと思つた
         ΛΛ 
         (゚Д゚;)
    ノノ人ヽcく ycい
  /{(゚ー゚*)}/  (_(_|っ
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
// ̄ ̄ ̄ ̄//

9 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 14:54
           死ぬんぢやなからうね、大丈夫だらうね
         ∧∧
    ノノ人ヽ (゚Д゚;)
  /{(*゚ー゚)}c<ヽcく||ヽつ
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
// ̄ ̄ ̄ ̄//

女は黒ひ目を眠たさうにみはつたまま、やつはり静かな声で云った

でも、死ぬんですもの
仕方がないわ
        ∧∧
    ノノ人ヽ(゚Д゚;)
  /{(*゚ー゚)c<ヽcく ||ヽっ 
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
// ̄ ̄ ̄ ̄//

10 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 14:54
自分は黙つて顔を枕から離した
腕組みをしながらだうしても死ぬのかなと思つた
           ΛΛ
          (-Д-)…フム
    ノノ人ヽ  / ヽ⊂ヽ
  /{(*-д-)}/(_|⊃)
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
// ̄ ̄ ̄ ̄/ /

11 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 14:56
暫くして女がまた斯う云つた

死んだら埋めて下さひ。大きな真珠貝で穴を掘つて
さうして天から落ちて来る星の破片を墓標に置いて下さひ|
さうして墓の傍に待つていて下さひ
また逢ひにきますから      
___ ___________/
     V    ΛΛ
         (゚Д゚;)・・・何時逢ひに来るかね
    ノノ人ヽ / ヽ⊂ヽ
  /{(*゚ー゚)}/(_|⊃)
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
// ̄ ̄ ̄ ̄/ /

日が出るでせう。それから日が沈むでせう
それからまたでるでせう。そうしてまた沈むでせう
赤ひ日が東から西へ、東から西へと落ちて行くうちに
――あなた、待つてゐられますか 
___ ___________
     V    ΛΛ
         (゚Д゚;)・・・ン
    ノノ人ヽ / ヽ⊂ヽ
  /{(*゚ー゚)}/(_|⊃)
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
// ̄ ̄ ̄ ̄/ /

12 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 14:56
百年待つてゐて下さひ。
百年私の墓の傍に坐つて待つてゐて下さひ
きつと逢ひに来ますから
___ _______
     V     ΛΛ
          (゚Д゚;)・・・待つてゐる
    ノノ人ヽ  / ヽ⊂ヽ
  /{(*´ー`)}/(_|⊃)
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
// ̄ ̄ ̄ ̄/ /

14 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 14:56
黒い眸のなかに鮮に見へた自分の姿が、ぼうつと崩れて来た。
女の目がぱちりと閉じた
長い睫の間から涙が頬へ垂れた
           ΛΛ
          (-Д-)
    ノノ人ヽ  / ヽ⊂ヽ
  /{(TーT*)}/(_|⊃)
 / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄/
// ̄ ̄ ̄ ̄/ /


――もう死んでゐた

15 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 14:57
自分は庭へ下りて、真珠貝で穴を掘つた
女をその中に入れた
柔らかひ土をそつと掛けた。掛ける毎に真珠貝の裏に月の光が差した
     ∧∧
    (  ゚) //
    /  つ()
   (””””)

それから星の破片の落ちたのを拾つて来て、かろく土の上へ乗せた
星の破片は丸かつた。長い間大空を落ちてゐる間に、
角が取れて滑らかになつたんだろうと思つた
            ∧∧  
            (゚Д゚ )
            く у ゝ
      (⌒)    |”””| 
   / ̄ ̄ ̄\

16 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 14:57
自分は苔の上に坐つた
腕組みをして丸い墓石を眺めてゐた
:::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::
::::::::::::::∧:∧::::::::::::::
::::::::::::(::.゚Д )::::::::
::::::::::(::/⊃ノ ゝ....  __(⌒)
::::::::::::):::.._|つ)::::/

そのうちに女の云つた通り日が東から出た。大きな赤ひ日であつた
それがまた女の云つた通り、やがて西へ落ちた。一つと自分は勘定した

17 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 14:59
斯う云う風に壱つ弐つと勘定して行くうちに、赤ひ日を幾つ見たか分からない
       ∧.∧
       (::::::::)    (⌒)
       /:::::::::|  / ̄ ̄ ̄\
     ..::(:::::::::っ
    :::::::::::::::::~~
   ::::::::::::::::::::::
  :::::::::::::::::::::::::
 ::::::::::::::::::::::::::::::

18 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 15:00
石の下から青い茎が伸びて来た
真白な百合が鼻の先で骨に徹へるほど匂つた
         ∧∧
        Σ(゚Д゚ )
        (○)y  ゝ
        ヽ |(⌒)
        ̄ ̄ ̄ ̄ 

19 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 15:00
そこへ遥の上から、ぽたりと露が落ちたので花は自分の重みでふらふらと動ひた
自分は首を前へ出して白い花瓣に接吻した
       ∧∧
       ( ゚ д(○) )) 
     く.  y ヽ |〃 
     (_|つ) (⌒)

20 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 15:00
自分が百合から顔を離す拍子に思はず、遠ひ空を見たら、暁の星がたつた壱つ瞬ひてゐた
                               ☆
    
       ∧∧
      (  ゚Д)ミ
      く  y (○)
      (_|つ)|〃

21 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 15:00
「百年はまう来てゐたんだな」と此の時始めて氣が附ひた

22 名前:( ´∀`)さん 投稿日:2001/06/11(月) 15:15
 先生、もしや
\ その女性は・・・/
    ∧_∧   ∧ ∧    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
    (;´∀`)   (゚Д゚;) < あ、あくまで作り話じゃ。
   8 y  ).皿! 8 y >  \ 決して実体験では無ひぞ
 ≡≡⌒ ⌒≡≡⌒ ⌒≡    \_______
 廿(_(_)   UU廿


原作:夏目漱石『夢十夜』

参考までに・・・http://www.aozora.gr.jp/cards/souseki/yumejuya.html

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