595 名前:( ´∀`)さん 投稿日:03/03/11 18:55 ID:FFCZB6OL
 こんな話を聞いた。
__  _____________
   ∨            
    ∧ ∧    /ノ人ヽ.. ナンデセウ
    ( ゚Д゚)   (゚ー゚#).... о__
    < |=| >━┳(μ.||))...||###
    ( /つ) .┃(  )⊃||###
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄



 
596 名前:( ´∀`)さん 投稿日:03/03/11 18:55 ID:FFCZB6OL

 煙草屋の娘で、小さく、愛くるしいのがゐた。

   ._/_/_/_/_/_/_/_/||―――――――| ____  |_/_/_/_/_/_/_/||
    ェモガ |../_/_/_/ ||   堂 星 四   | |____| .| /_/_/_/_/_/_/|| ト ン ネ
    ./_/_/_/_/_/_/_/||_______| _____|_/_/_/_/_/_/_/||___ 
       ___  ||. , _,、  Uミ    | .___  .| ______.||   __
     |  ||_||_||  ||. 〉 〈 ≪__〉\  | || ̄|| ̄|| .| || ∧∧ |た.|||┌i..||
   、 |  || ̄|| ̄||  || l__l ノ__ゝ.\ | ||_||_|| .| || (*゚ー゚)..|ば||| 目 || /
     |    ̄ ̄ ̄  .||_______| || ̄|| ̄|| .| | ̄ ̄/ ̄.|こ.||| 目 ||
     |        ||□□□□□□□| ||_||_|| .| | /  '. ├:-||| .H  ̄ ̄
    ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   ______________________________
   ──────────────────────────────



 
597 名前:( ´∀`)さん 投稿日:03/03/11 18:56 ID:FFCZB6OL

男は、この娘のために、飮酒をやめやうと決心した。
男の聲も眞劍であつた。娘はだまつて、こつくり首肯ゐた。信じた樣子であつた。

     ______ ┌─ ┐
     ||     ハィ   | た..|
     ||  ∧∧   ∧∧ ,,!
     ||  (*"ー)   (,,  ) < 「僕の意志の強さを信じて呉れるね?」
     || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ と  | 
     ||         |  |〜
     ||         U U


 
598 名前:( ´∀`)さん 投稿日:03/03/11 18:56 ID:FFCZB6OL

男の意志は強くなかつた。その翌々日、すでに飮酒を爲した。
日暮れて、男は蹌踉、たばこ屋の店さきに立つた。

     ______ ┌─ ┐
     ||         | た..|
     ||  ∧∧       ,,!
     ||  (*"ー)  <,, ̄)  …スミマセン
     || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ と  | 
     ||         |  |〜
     ||         U U

ぴよこんと頭をさげた。
眞實わるい、と思つてゐた。娘は、笑つてゐた。


 
599 名前:( ´∀`)さん 投稿日:03/03/11 18:57 ID:FFCZB6OL

 だめよ、お酒飮みの眞似なんかして
                       /
  ̄ ̄ ̄ ̄∨ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
   
     ||  ∧∧ ∧∧    / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
     ||  (*"ー)(,,  )  < こんどこそ、飮まないからね
 オイタハ   .  ̄   U  |    \___________
  カンニンシテ、ネ   |  |〜
            U U

娘は、無心に笑つてゐた。
男の醉ひは一時にさめた。


     ||    タント、タント、カラカヒナサイ  
     ||  ∧∧   ∧∧ ,,!
     ||  (*"ー)   (,,  ) < おや、僕は、僕は、
     || ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ と  |  |   ほんたうに飮んでゐるのだよ
     ||         |  |〜  \___________
     ||         U U

あらためて娘の瞳を凝視した。


 
600 名前:( ´∀`)さん 投稿日:03/03/11 18:57 ID:FFCZB6OL

娘は、濁りなき笑顏で應じた。
「だつて、誓つたのだもの。飮むわけないわ」
                   
                コゝデハ オ芝居ハオヨシナサイナ
              ,:' ゙:                     ,:' ゙:
             ,:'   ゙:          , 、         ,:'   ゙:  
            ,:'     ゙:..,,      ,:'  ゙:       ,:'     ゙:..,, 
          ;'     "  '''' - - ..,,,:'    ゙:     ;'     "  '
          :'               "''    :,    :'        
        ;     ○              ;   ; 
         :  * `"''          ○   ;'    :
           :           ー   ''"  ;'    :  
           ゙ 、              ;'     ゙ 、
           ;゙ ; - ,,         .. :"       ;゙ ; -
            ;'     ゙゙''     ' " ゙;         ;'  
       |'''''''''''''''''':,.,.,.,.,;;'''''''''''''':.,.,,.,.,;:;'''''''''''''''''''''' ;' 
       |                      ;' 
                    |       ;'  
                い    ヽ__ノ     ;'    

                      てんから疑つて呉れなかつた。


 
601 名前:machina 投稿日:03/03/11 18:58 ID:FFCZB6OL

 せつないでございますねえ・・・
 もしや其の男とはキネマ俳優の岡田時彦様じやあございませんか?
_________ ______
             ∨ ..||
    ∧ ∧    /ノ人ヽ..||           出典 太宰治『あさましきもの』
    ( ゚Д゚)   (゚ー゚#)....||о__
    < |=| >━┳(μ.||))...||###       繪繪化に際しまして、文章を
    ( /つ) .┃(  )⊃||###       改めさせて戴きました
   ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
___∧_____________

 うむ。先年なくなつたが、じみな人であつた。





 
inserted by FC2 system