- 390 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 04:59 ID:.NwrvTsw
或る日、擬古の家にて
Λ_Λ Λ Λ
( ´∀`) (゚Д゚ )
< _____y__ フつ ζ ζ < y >
⊂[ ) ) 旦 旦 ( /つ )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ´∀`) ……といふ訳で、仁太も随分肝を冷したやうです
(゚Д゚ ) ハハハ、其れはマタアリとした笑ひ話だな
( ´∀`) ……
- 391 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:00 ID:.NwrvTsw
Λ_Λ ? Λ Λ
( ´∀`) (゚Д゚ )
< ____y___ > ζ ζ < y >
⊂[ ) ) 旦 旦 ( /つ )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
( ´∀`) 処で先生、先生に一度お聞きしたかつたのですが……
(゚Д゚ ) 何だね
( ´∀`) 先生はよく、「マタアリ」や「マタハリ」と仰いますが、
其れはどういう意味なのでせう
(゚Д゚ ) あア、其の話か……
さう言へば、あれは私が未だ若い時分の事だつたか……
( ;´∀`) (ム、長くなりさうだ……薮蛇だつたかな)
- 392 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:02 ID:.NwrvTsw
「私は當時、或る文士の主宰する文芸誌の編集子をしてゐた。
或る時、新しき文芸を創らうとする運動が起こつて、
随分と理智的で、思想的な文字が寄稿された事があつた。
?
Λ Λ?
(゚Д゚ ) 此れは文藝なのか?
< y >
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
/⌒/⌒/
⌒ ⌒
- 393 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:03 ID:.NwrvTsw
「當時の私は其の文字をどうしても文藝と考えることは出来なかつた。
文藝と言ふには余りに思想に過ぎ、評論に過ぎると思つたのだ。
私はさうした文字を、文藝誌に遂に掲載しなかつた。
Λ Λ評論、イッテヨシ!
(゚Д゚ )
ポイ ⊂「 y >
/⌒/彡 |'''''''''''|
⌒ ∪∪
- 394 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:05 ID:.NwrvTsw
「すると忽ち、誌上で猛然とした論争が起こつた。
『新しい文藝を載せよ』、『否、載せるべからず』、と、
其れは非常に烈しいものだつた。
「編集子擬古は
寛政時代の遺物では無いか?」
「文藝と思想は Λ Λ Λ Λ
一体で有る」 (゚Д゚;三;゚Д゚) 「否、此れは文藝誌であつて、
< y > 藝の無い文は掲載さるるに当たらず」
「擬古は |'''''''''''|
編集子を辞せよ」 ∪∪ 「評論に藝が無いと言ふは不当な見方なり」
- 395 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:06 ID:.NwrvTsw
「私は、斯様な騒動を起こした責を取り、編集子を辞する
ことに決め、主宰だつた私の文藝の恩師に話をしに行つた。
すると、先生はこう言はれた。
Λ Λ //ノ人ミヽ
( ゚Д゚) (´ー` )
< ___y__ > < y >
⊂[ ) ) ( /つ )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(´ー` ) 擬古君、外を見給え
( ゚Д゚) ?
- 396 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:07 ID:.NwrvTsw
「庭は生憎の雨で、折角の桜がすつかり濡れて散つてしまつてゐた。
ゞ:::ゞ::::ゞ ゞ /|/ ゞ| | | ゞ | |
ヽ::::::::ゞ::: // ゞ ゞ | |
ゞ::::::ゞ;;:::ゞ / | | | | ゞ ゞ | ゞ
ヾ ゞ:::;;ゞ;;:::ゞ ヾ | ゞ ゞ |
{;;;:::::::::::} | | \ゞ::::ゞ:::ゞ
{;;;;:::::::::{ | | | {;;;::::::::}
{;;;;;;;::::::} | | |
{;;:::::::;;;}|
{;;;;;;:::::::} | | {;;::::::::::{ |
{;;;;;;;;::::::} | | | {;;;;;;::::::}
{;;;:::::;;;::::} | | {;;;:::::::::}
{;;::;;;;;:::::} | | | | {;;;;;;:::::::} |
{;;;;;::::::::::} | {;;;:::::;;;;;}
};;;;;;;::::::::} | ゞ ゞ | ゞ /;;;::::::::::::\ |
{;;;;;;:;:::::::{ |
};;;;;;;;;;::::::{ ゞ " ゞ | ゞ ゞ
/;;:::;:;;:;:;:;;;;:;\ ゞ " ゞ
ゞ ゞ ゞ " ゞ ゞ
- 397 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:08 ID:.NwrvTsw
________________________
[][][]| | | | |[][][][]
[][][]| | | | |[][][][]
[][][]| | | | |[][][][]
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. | | Λ Λ | //ノ人ミヽ |
|
. | | ( ) | (´ー` )
| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ < _______ > ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ < y > ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
⊂ ⊂ ) ( /つ
)
( ゚Д゚) 折角の桜が……残念ですな
(´ー` )
よく観給へ、美しい春雨では無いかね
( ゚Д゚) ……
- 398 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:09 ID:.NwrvTsw
Λ Λ //ノ人ミヽ
( ゚Д゚) (´ー` )
< ___y__ > < y >
⊂[ ) ) ( /つ )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(´ー` )
擬古君、君は「其亦在」と言ふ言葉を知つてゐるかね
( ゚Д゚) 「ソレモマタアリ」……いいえ、存じません
- 399 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:10 ID:.NwrvTsw
此れは僕が拵えた言葉なんだがね、
//ノ人ミヽ
桜在り、其れを散らす春雨も亦在り。
(´ー` ) 紅葉在り、其れを枯らす秋風も亦在り。
< y >
( /つ
) 世の中、自分の好む物、愛する者が
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ あれば、其れを大切に思ふのは無理もない。
其れを乱されたと思へば、面白くないのも無理はない。
- 400 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:11 ID:.NwrvTsw
Λ Λ //ノ人ミヽ
( ゚Д゚) (´ー` )
< ___y__ > < y >
⊂[ ) ) ( /つ )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(´ー` ) 併し、僕は其の時、「ソレモマタアリ」と想ふのだよ。
森羅万象、其亦在と。
( ゚Д゚) ……
(´ー` ) ハハハ、一寸面倒臭い話をし過ぎたやうだね
まア、君は気にせず編集を続け給へ
- 401 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:12 ID:.NwrvTsw
Λ_Λ Λ Λ
( ;´∀`) (゚Д゚ )
< _____y__ > < y >
⊂[ ) ) 旦 旦 ( /つ )
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(゚Д゚ ) 先生は、文藝には評論も思想も、「其れも亦在り」と
考へてゐらしたのだ。
其れを巡る様々な論争も、「マタアリ」と考へてゐたのだ。
( ;´∀`) (あ、足が痺れて来た……)
(゚Д゚ ) 先生は私に、春雨を通してマタアリの心構へを教えて
下さつたのだな。
其れ以来私は、先生の言はれた「マタアリ」といふ言葉を、
座右の銘としてゐるのだよ。
( ;´∀`) (もう辛抱たまらん……)
- 402 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:14 ID:.NwrvTsw
Λ_Λ Λ Λ /ノ人ヽ
( ;´∀`) (゚Д゚#) (゚ー゚*) アラアラ
ジーン < _____y__ > < y >
( v )
⊂[ ) )∪旦 旦 ( /つ )
( )⊃
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
(゚Д゚#) これ!人が話をして居るのに足を崩す法があるかゴルァ
( ;´∀`) 済みません……
でも先生、此れもマタアリ、ですよ
(゚Д゚#) う、五月蝿い!其れと此れとは話が別だゴルァ!
〜 チヤン /\ 〜
- 403 名前:( °Д°)
投稿日:01/10/04 05:16 ID:.NwrvTsw
- <390-402>
一寸した御話を御贈り致し候。
「マタアリ」の、決して辞書には載らない御話にて御座候。
処で、此のスレツドでの諸兄の薀蓄は、浅学不才の小生にとつて
非常に勉強になるものが多く、何時もマタアリと拝読して居り候。
諸兄の御話から文字絵のインスピレイシヨンを得ることも多々御座候。
Λ Λ
(゚Д゚ ) 向後も談論風発たる諸兄の御談話、
<φ y > 壱フアンとして楽しみにして居り候。
┳┯┯┯┯┯┳
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