513* 名前:1/7 [sage] 投稿日:2009/06/09(火) 22:48:30 ID:Ypb14+ix0 (7)
友人の代理で投下します。ずれてたらゴメソ

【完璧】

趙王(恵文王)が手に入れた和氏の璧がとても素晴らしいものだと知った秦王(昭王)はそれがどうしてもほしくなった。
そこで昭王は趙に使者を送り、「秦の城を15城あげるから和氏の璧くれよ」と申し入れた。
  ∧昭∧.                         / ̄>
 ( ・∀・) んじゃよろしこ               |゚U゚ヽ|/
 (~  )) ~)                       / y⊂)〜
 | | |          + 激しく了解 +  U〉  ⌒l
 (__)_)                     /(__ノ ~U


趙の政庁は騒然となった。この時代、秦の一強状態だったので無理もない話である。
下手に断ればそれを理由に戦争を仕掛けてこないとも限らなかったからだ。

どうするモナ!?  どうしましょう…  約束を守る保証は… しかし秦は強国…
   ∧恵∧          ∧臣∧           ∧臣∧          .∧臣∧
  ( ;´∀`)        .(´Д`; )         .(´Д`; )        (´Д`; )
  (~  )) ~)        (~ ((  ~)         (~ ((  ~)        .(~ ((  ~)
  | | |        | | |         | | |           | | |
  (__)_)        .(_(__)          (_(__.)        (_(__)


そんな中、繆賢(びゅうけん)という宦官が
「私の客人に藺相如という知勇兼備の者がおります。彼ならきっとなんとかしてくれるでしょう」
と言い出した。

   ∧恵∧          ∧臣∧           ∧臣∧          .∧繆∧ おそれながら申し上げます!
  ( ;´Д`)Σ      .( ;´Д`)Σ       .( ;´Д`)Σ       (´∀`; )
  (~  )) ~)        (~ ((  ~)         (~ ((  ~)        .(~ ((  ~)
  | | |        | | |         | | |           | | |
  (__)_)        .(_(__)         (_(__)         (_(__)


 
514* 名前:2/7 [sage] 投稿日:2009/06/09(火) 22:50:35 ID:Ypb14+ix0 (7)
結局それ以外の案は出ず、(恵文王を納得させる出来事があるのだがここでは割愛)藺相如は璧をもって秦へ使者として訪れた。
そして丁重に壁を差し出した。
                       ∧昭∧ これが「カシノヘキ」か。いいね、いいね。
                      (・∀・ )
    ∧藺∧ ハハーッ          (~ ((  ~)
    ( ;`Д´)        【◎】   | | |
   (,_ヽ,_))_)      ┬─┬  (_(__)


しかし昭王はもう璧を手に入れた気になっており璧を部下に見せびらかすばかりで城の話を出そうともしない。
この時点で藺相如は秦王が城を譲るつもりはないことを察した。
そこで藺相如は
                             !! ∧昭∧ なんと!
          ……。               (・Д・ ) どこにあるんだ?
    ∧藺∧ ときに秦王さま、この璧には  (~ ((  ~)
    ( ;`Д´) とても小さな傷がございます。 | | |
   (,_ヽ,_))_) 示しますので璧をこちらへ…  (_(__)


 
515* 名前:3/7 [sage] 投稿日:2009/06/09(火) 22:52:03 ID:Ypb14+ix0 (7)
そう言って身を乗り出すや否や、壁を昭王から奪い取り柱に身を寄せ
「趙では疑う意見が多かったが、趙王様は秦を信じ五日間身を清め和氏の璧を渡されました。
  しかるに秦王はの態度は傲慢無礼で譲るはずの城の交渉もせずただ璧をもてあそぶばかり。
  約束を果たす気を全く見せないゆえに私は璧を取り返したのです。
  もしさらに璧を私から奪い取ろうとするなら私の頭とともにこの璧をたたき割るでしょう」
と憤怒の形相で叫んだ。

  | アハハハ+                      ※AAはイメージです。実際のものとは異なります。
  |+  ∧藺∧   .+  ∧昭∧      .+
柱 |  ( ´∀`)    (´∀` )ヘキカエセヨー
  |◎⊂、 ⊂)     ⊂、 ⊂)      +
  |   ヽ 人       ヽ 人
  |   (_)J       (_)J


突然のことに驚いた秦王は取り繕うように明け渡す城を提示したが
「秦王さまも五日間香をたいて身を清め、そのあと改めて話をするべきでしょう」
と取り合わなかった。
                                             ※AAは(ry
     ∧ 藺  ソンナタイドダカラ          こんなところでどーよ?
    /´。 `ーァ ヘキガダメニナルンダ   .∧昭∧  ってか、それ実は璧じゃねえだろ!
    {  々 ゚l´              (・∀・; )  キャラ カワッテル ジャンカ!
   / っ◎o モグモグ         (~ (⊃| ̄ ̄|o
  /    /               | | |__|
  ∪^∪                  (_(__)

 
516* 名前:4/7 [sage] 投稿日:2009/06/09(火) 22:53:49 ID:Ypb14+ix0 (7)
結局その場は藺相如の言うとおりにするしかなく、場を改めることになり秦王は身を清める儀式を始めた。
璧が手に入る前提だったのでこのくらいの手間は仕方ないだろうと思ったのだ。
  ∧昭∧ ξ   まったく、余計な手間を取らせるぜ。
 (#・∀・)    さっさと渡しちまえばいいのによ。
 (~  )) ~)  ζ コウヲタイテ キヨメテヤンヨ
 (  と  )  壺


その間に藺相如は間者に璧を持たせて趙へ帰らせた。
  ∧藺∧ マカセタゾ!  / ̄>  + 激しく急務 +
 ( `Д´)       (‘_‘ヽ|/
 (~  )ソ~(っ◎   /  y ,⊂)〜
 | | |      U〉  ⌒l
 (__)_)    /(__ノ ~U


そして五日がすぎ…
                           ∧昭∧   あんですとー!?
          怖れながら秦王さま。   (・∀・; )Σ どういうことだそれは!
    ∧藺∧  壁は趙へ返しました。   (~ ((  ~)
    ( ;`Д´)                  | | |
   (,_ヽ,_))_)                  (_(__)

 
517* 名前:5/7 [sage] 投稿日:2009/06/09(火) 22:55:20 ID:Ypb14+ix0 (7)
                        ─
 、   l   _,                  -‐-、
  ヽ/⌒ヘ~    ,ヘ        ,rァ       l
  ., 't,_,ノ丶   / '、  秦  ,/ ,i       '’
 /  !   '`  |   '──--'  {       つ
        ,/ ● L_/    'i,
       /     l ,/  ●   i,    -っ
       'i      しii     丿     / ゝ-
    ◎|`:、\     'ii   __,/      `‐′
      'i、 ̄~~     ij  乙__ノi       ├
       ^-ァ        __,ノ       σ‐
     r^~"i'        'l
     !、 !         l          ─‐
      ~^''!,   ,_    ,!_        ー〜'ヽ
         \ l,~^''‐--::,,⊃ ) ) ) )       )
            `'‐’       

        これまで歴代の秦王で約束を守ったことのある人物を聞いたことがありません。
  ∧藺∧  そしてまた、こたびの秦王さまも昨日の態度で城を渡すつもりがないことを悟りました。
  ( ;`Д´)  約束が果たされずに璧が奪われるよりは璧を恵文王様に返し、わが首を以って無礼の償いといたしとうございます。
        どうぞこの我が身、焼くなり煮るなり首を討つなりご自由になさりませ。

 
518* 名前:6/7 [sage] 投稿日:2009/06/09(火) 22:57:05 ID:Ypb14+ix0 (7)
藺相如の言葉に秦王の家臣は激怒した。
当時秦は最大の勢力だったのでまさか格下の趙の人間がそんな行動に出るとは思わなかったのである。

                          秦王さまを騙すたぁふてぇ野郎だ!             斬首!斬首!
                                    ( (⌒) )         ( (⌒) )         .( (⌒) )
                                    .|| ポッポー     || ポピー       || ガッシュガッシュ
                        ∧昭∧          ∧臣∧           ∧臣∧          .∧臣∧
                       ( ;・∀・)        .(・Д・#)         (・Д・#).        (・Д・#)
    ∧藺∧             (~  )) ~)        (~ ((  ~)         (~ ((  ~)        .(~ ((  ~)
    ( ;`Д´)           .| | |        | | |         | | |           | | |
   (,_ヽ,_))_)            .(__)_)        .(_(__)          (_(__.)        (_(__)
                                           望み通りにしてやるわ!


だが、家臣の一人は怒ることなく、

  ∧老∧  静まりなされ。すでに璧は趙に返ってしまったのだ。
 ( ・∀・)  いまさらこ奴の首を斬ったとて璧が手に入るわけではあるまい。
 (~  )) ~)  むしろいたずらにこの者を斬首にしたとあれば趙国の恨みを買うだけであろう。

と、とりなした。

 
519* 名前:7/7 [sage] 投稿日:2009/06/09(火) 22:58:31 ID:Ypb14+ix0 (7)
そして藺相如は殺されることなく、また璧を奪われることもなく無事に恵文王のもとへ帰した。
こうして物事を忠実に、完全に行うことを「璧 ( へき ) を 完 ( まっと ) うす」、完璧と言うようになったのである。

ただ今戻りました!  ∧藺∧         ∧昭∧ よくやった!
            ( `∀´)         (´∀` )
            (~  )) ~)          ⊂、◎⊂)
            | | |           ヽ 人
            (__)_)          (_)J


余談だが璧を取り戻して秦王に一喝した時の藺相如の形相はすさまじく、
また、冠を突き上げるほど髪の毛が逆上がっていたという。
この様相がのちの怒髪衝冠、「怒髪天を衝く」の由来となった。
 
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